視覚化1



 視覚化。それは一般の人にとっては耳慣れない言葉ですが、神秘行において、とても
重要な修行法となる技法です。
 基本的にこの技法は、その場に存在しないものを人間の意識によって視覚的に思い
浮かべる方法を言うものです。こうやって、言葉で説明すると難しそうな感じを受ける
かも知れませんが、しかし、一般の人でも日常の生活において、ある人の事を思い出そう
とするとき、自然とその人の顔が意識に思い浮かんで来る事は誰でも経験している事でしょう。
また、熟練の芸術家の中には自分がこれから描こうとする絵を、まだ紙に何も描いてない
段階で既に紙の上にありありと思い浮かべ、後の創作活動はそれを写していくだけという
人もいますが、これは特に意図されずに得られた高度な視覚化といえるものです。
神秘行においては、その視覚化を修行により、一歩一歩、確実に修得していきます。



基礎的知識


 視覚化と一口に言っても、そこには大きく分けると2つの技法があります。
一つは脳内で思い浮かべたイメージをそのまま眼前に投射する直接イメージ、もう一つ
は眼前にまず、大まかなイメージを思い浮かべそれに肉付けしていく事を行なう創造
イメージというものです。これらは同じ視覚化といっても、実際に行なう場合には
かなり違うステップを踏んで眼前に視覚的イメージを持って行く事になるのです。
 直接イメージはまず、脳裏にありありとイメージの全体像を思い浮かべてしまい、
それをそのまま眼前の空間に持って行くという方法を行ないますが、創造イメージ
はまず眼前の空間にイメージの朧げな輪郭を思い浮かべ、その後、記憶によって
肉付けしていきます。この2つのイメージを実際の修行に使う場合は、それぞれ
長所短所があり、そして人によっても2つの方法にたいする得手不得手があります。
しかし、学び手はよく修行を積み、この2つの技法をその時と場所によって適時使い
分ける事が出来るようにしていってください。



残像の保持


 1 ある程度の大きさを持つ風景画や写真を多く用意してください。

 2 呼吸を整えリラックスして頭をすっきりとさせてください。

 3 用意した風景画などから無作為にどれかを選び出し、それを一瞬だけ
   見つめてから目を瞑って下さい。

 4 瞼の裏に残った風景画などの残像の大まかな輪郭をよく観ます。この修行を
   はじめた頃はあまり目の前に残らないかもしれませんが、練習を積んで
   いけば、やがて結構残ってくるようになります。

 5 残像の大まかな輪郭がよく観えるようになってきたら、次はその残像を
   なるべく長時間残せるように練習します。この辺のコツはなかなか言葉では
   現わしにくいものなのですが、自分で「残る」又は「残そう」と思えば、
   結構、残ってくるのであまり力む事無く頑張ってください。


・補足事項・


 この練習の進み具合は生来の素質によるところが大きく、出来る人は
何の練習をしなくてもかなり長時間瞼の裏に残像を残す事が出来るそうです。
しかし、普通の人は一歩一歩着実に練習を積んで行くのがベストでしょう。

 最初からあまり複雑な絵を用いるとなかなか輪郭さえも残せない事が多いので、
最初は単純な絵を用いるのも良い方法です。漫画やアニメが好きな人はその
キャラクターを用いてこの残像の練習をするのも面白いでしょう。この残像の練習に
限らず、神秘行の訓練と言うものは他に好きな趣味があれば、それと関連付けて
修行するなど、自分なりの面白味を見出して行なうのが長続きするコツです。



視点の調節


 1 自分の部屋の壁に1mx1mくらいの白い無地の紙(模造紙など)
   を貼り、視点調節用の空間を用意します。

 2 壁から腕をいっぱいに伸ばした距離くらいのところに座ります。

 3 腕を伸ばし、人差し指をたて、その指の先を見つめてください。

 4 人差し指に注意を保ちながらも、その指の周りの空間を見てください。
   今はまだ指が壁に近く、壁に目のピントがあっているので、
   壁は正常に見えるでしょう。

 5 人差し指に注意を保ちながらも、その周りの空間を認識出来る事を
   確認したなら、人差し指を徐々に自分の顔の方に近づけていって
   下さい。その際は決して人差し指から自分の視点をそらさない事。

 6 そして、人差し指を近づけていく際、人差し指に注意を保ちながらも
   その周りの空間に注意を払い、指が移動するにつれ指の先の壁、及び
   指の周りの空間がどの様にぼやけてくるかをしっかりと観察してください。

 7 次の段階の修行として、指を使わずに目のピントを壁から目のすぐ前
   まで自在にずらす事を練習してください。その際、どの距離の状態でも
   視点のピントを一定時間、保つ練習をしてください。

 8 そしてこれらの練習を修めたならば、次は遠くの山並みや夜空に輝く
   星などを対象にして、目のピントを自由に制御する練習を行なって
   いってください。


・補足事項・


 視点の制御を修行しそれに長けてくると、目をずらし自分の顔のすぐ先に
持ってくるだけで自分の意識に一種独特な空間を作り出せるようになります。
視覚と人間の意識と言うものはとても密接な関わりを持っているのです。
またアジナーの開発の行を行なったものならば、経験する事ですが、
意識を整え目を瞑り、意識をアジナーに目のピントを目の前に合わせれば
自分の目の前に無限の広がりを感じさせる空間を捉えれると思います。
 それが「意識の場」とよばれるものであり、この状態をうまく保ち制御して
行くことを練習していってください。これから先の視覚化、そして神秘行の
訓練においてはそれがとても重要な役割を果たしてきます。

 また、この視点の制御は視覚の強化にもとても良い影響を及ぼします。
現代の人はTVやパソコンなど、OA機器の発達によってその視覚の能力を
かなり弱体化させています。これは、外界からの情報の多くを視覚によって
受ける人間にとってはその基本能力の劣化にもつながってしまうのです。
この視覚の調節はその視覚の弱体を防いだり癒す事に良い効果を及ぼすでしょう。


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