コンプレックスと霊的存在



 人間という存在は様々な特色を持った細胞や組織が、幾つも寄り集まって成り立っている生命体です。
例えば、赤血球は酸素を運び、白血球は人体に侵入した異物を排除します。胃は食物を消化し、腸は
栄養分を吸収します。これらの細胞や組織は人間という生命を成り立たせるという、ひとつの大きな目的
の下に調和した働きを行っているものの、それぞれ自身はお互いにバラバラな働きをするものです。
また、少し例えは悪くなりますが、人間には寄生虫がつくことがあります。寄生虫は、例えば腸に棲む
ものならば、腸まで降りてきた人間の栄養物を摂取し生き続けるものです。このように、人間は意識しない
うちに、その身のうちに幾つもの生命体を持っているものですが、実は、意識内で作られた様々な
コンプレックスもこれらと似たように、人間の意識内に潜む異質な生命体みたいな捉え方、特に寄生虫に
似たようなものであるという考え方で考えると理解しやすいかもしれません。

 コンプレックスは何らかの強い情動により、意識内に生まれますが、以後、その発生要因と似たような
情動が当人の意識に発生した場合、コンプレックスはそれを寄生虫みたいな感じで、自らの栄養として
吸いあげて意識の中で存在し成長してしまうのです。やがて成長し肥大化してしまったコンプレックスは
自らの存在をより強くするために、その当人の意識やそれだけにとどまらず、意識の不思議な作用で外界で
ある、その人の周囲にまで働きかける程の影響力を持つことになる事があるとされます。

 例えば、世の中には、何らかの不幸な出来事が起こって、とても落ち込んでしまった人が、さらに、その
身の回りに次々と他の不幸な出来事まで重なって起ってしまうという話も聞いたりする事があるでしょう。
神秘的自己探求では、こういった現象の原因の一つの見方として、最初の不幸な出来事を受けた時に、
当人の心に負のとても強いコンプレックスが生まれ、それが本人の資質(悩みやすい性質とか)とあいまって、
いつまでも意識内に残りつづける事があると考えます。そういったコンプレックスはやがて、意識内で
寄生虫みたいな形で棲み付き、それが自分自身を成長させるために、その人の身の回りに似たような不幸な
ことが起きるように働きかけているという考えをするのです。そして、そのコンプレックスは続いて起こった
不幸な出来事により当人が「ああ嫌だ嫌だ」などと思った情動のエネルギーを吸い上げて成長するのです。

 こういった、意識内にひとつの生命体として出来上がってしまったコンプレックスは、世に言う、霊を
見れる人が見ると一種の寄生虫的な霊的存在として認識されます。神秘的自己探求を学ぶものは、意識の
うちに潜むこういったコンプレックスの不思議な働きを知っておくようにしてください。そして神秘行の
世界で、話に聞かれる「人工精霊」や「式神」、「使い魔」といった存在は、こういった仕組みを応用
して作られる事がよくあるのです。



戻る