ユング心理学について3(投影)




ここではユング心理学を理解する時にとても重要な「投影」という事について述べていきましょう。

人間は他者と交流するときには、他者の人格や役割を主な基準にして行動することが多いものです。
例えば「あの人は優しい人だ」とか、「あの人は腹黒い人だ」。「あの人は警察だから規律正しくある
べきだ」「あの人は先生だから誠実であるべきだ」という事を人はまず考えて、その人に対して接します。
神秘行でよくある「あの人は私の師匠だから、全てにおいて超越しているべきだ」というのも、その
一つでしょう。こういった「イメージ」を通して人は他者と交流していくことになります。そして、
人間が感じる、こういった他者の人格というものは、人はその人格こそが、その他者自身であり、
他者はその全てにおいて、そういった「人物」なのだと決め付けて思い込みやすいものです。

人間という生き物は、本来、あまり難しく考えることを好みません。そのため、人間が他者を理解しようと
する時は、こういった単純な「イメージ」で他者をとらえてしまう事をよく行います。その方が、気が楽に
いろんな人とのコミュニケートをしやすいからです。しかし、実際はそのイメージというものは、それを
感じる自分自身の心の内にある同様の部分、あるいはそのイメージに合った性質を、その他者に「投影」、
つまり自分の心の中にある、この人はこういった人なのだ、というイメージを単純にその他者にたいして
重ねているに過ぎないのです。

 本来、人間というものは全体的な存在であり、様々な面を等しく持っているものなのです。完全な
善人というものはいなければ、完全な悪人というものも存在しません。優しいだけの人もいませんし、
残酷なだけの人もいません。誰しもが、その心の奥に「悪」とされる面を持っているし、また「善」と
される面を持っているのです。ある人物にとって、それらのどういった面が表面に現れやすいかは、
生来の資質やその傾向にプラスして、その人が育ち、生活している環境と教育によるものも大きいのです。

神秘的自己探求を学ぶものは、他者を判断するときには、こういった点を踏まえ、他者を偏った
イメージで捕らえてしまうことを避けるべきであることを知っておいてください。




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