ユング心理学について2(意識の構造)
次にユングの考えた人間の意識の構造、顕在意識から集合的無意識というものを説明していきましょう。
人間は普段、五感を使って外界の情報を取得、そして、それらを意識の中で言語による思考を用いて
次の行動を決めている事が多いものです。こういった人間が通常認識、自覚している意識を心理学では
「顕在意識」と呼びます。この意識は社会生活を営むにあたって、論理的に物事を処理するため常に
働かせているものですし、また、この意識は人間が一番認識しやすく、いつも自覚しているものなので、
人間はこの意識のみが「自分」というものの全体なのだと誤解しやすいものです。しかし、実際は人間
には、誕生からそれまで五感や様々な方法を通して得てきた情報が眠っている、「無意識」という広大な
範囲の意識があるのです。この無意識(潜在意識という呼び名であらわされることもある)という領域
までは、よく、一般でもその名を聞くことがあるので、知っている人も多い事でしょう。しかし、ユング
心理学ではさらに、その奥に個々の人の意識だけに限らない、その集団や社会に属する人達の意識を繋ぐ
「集合的無意識」と呼ぶ領域もあるとするのです。これを例えるとよく海の上に浮かぶ小島に説明されます。
下の図を参照してください。
この図を海の上に浮かぶ小島と見立ててください。この島一つは人間の個人の意識を模した図です。
海の上に浮かんで見えているのが、人間の通常の意識である顕在意識。海の下に潜っているのが
無意識です。人間が普段意識している意識はこの図を見ると解るように、海の上に出ている部分として、
とても小さなものが見て取れるでしょう。ですが、ひとたび、海の中にもぐってみると、島はその下に
大きな土地を持っていることを見て取れます。人間の顕在意識と無意識もこれに似たようなものと
考えてください。そして、その島は一番下で他の島、すなわち他人の個人的意識と地続きで繋がって
います。この一番下の小島と他の島を結びつける土地が集団無意識というものと理解してください。
神秘的自己探求では、この集団無意識という場で、様々な人が繋がり、いろんな情報をやり取り
しているとしているのです。
また、別の例えとして人間の意識の構造をパソコンの構造に例える考えもあります。パソコンと
いうものは、頻繁に扱う情報は、メモリというすぐに情報が取り出せる装置に記憶しています。しかし、
メモリはその性質上データをためておける領域が小さいのです。そのため、通常はあまり使わない情報
は、ハードディスクという装置に記憶しておきます。このハードディスクはとても領域が広いため、
多くのデータを記録しておけるのです。そして、必要になったデータは、このハードディスクからメモリ
へと呼び出してくることになります。人間の意識の構造も、これにかなり似通っているのです。
人間の顕在意識というものはメモリと似ており、その扱える情報量がとても少なく、そのため、外界
から入ってきた情報のうち必要ないものや、少し前以前の出来事はすぐ記憶(無意識)=ハードディスク
の中へと押しやってしまいます。しかし、必要が来ると、その記憶の中から、必要な事項のみを取り出し、
物事を処理していくという方法を取っているのです。また、最近のPCは単独で動いているわけではなく、
ネットを通して他の無数のPCとも繋がっており、その情報をやり取りするようになりました。実は、
人間の意識の奥、集合的無意識もこれと似た機能を持っているといえるでしょう。ただ、通常の人間の
意識は、このネット領域で使用されているプロトコル(言語)を理解することが出来ません。そのため、
このネットの情報を有効に利用することが出来ないのです。しかし、このネットの情報を得ることは、
自己というものを本当に知るための神秘的自己探求では、必要不可欠です。その為、神秘的自己探求では、
このプロトコルを扱うための、変換プログラムを意識に組み上げていくという事に似た訓練を行うのです。
ここまでユング心理学で学ぶ意識の構造というものを説明してきましたが、読者はこれらの
たとえを通して、少しでも人間の意識の構造についてイメージを持ってもらえたでしょうか?。
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