魔術の種類について
先のページでも述べたように西欧の神秘伝統における魔術とは、古代神官の技法に
源を発する、本来、意識を制御する技術である。しかし、長い歴史の間に、その魔術には
様々なイメージのものが作り上げられてきた。ここでは、魔術をより理解するために、
その様々な魔術の種類について解説していこう。
魔術
(Magic)
この「Magic」の語源は紀元前5〜6世紀頃のペルシアで栄えた、ゾロアスター教の
神官の呼び名マギ(Magi)から来たものと言われる。マギは様々な自然学の法則に通じ、
その当時の文化レベルからいえば超能力者としてまでも見做されるものだったとされる。
魔術という言葉のイメージは、そこから出来上がったともされているのだ。
しかし、現在においては、この魔術(Magic)という言葉は多種のイメージを含むように
なってしまっており、一般的には手品や記述などまで含めた「怪しい術」というもので
括られてしまっているのが現状だろう。
高等魔術
(High Magic)
一般的に「魔術」と呼ばれる言葉がおまじないや手品から哲学まで、様々なものを含む
言葉になってしまっているのにたいし、「高等魔術」は「黄金の夜明け団」という結社が
作り出した、理論的・実践的に整備されたシステマティックな意識制御の技術を指す。
低次魔術
(Low Magic)
高等魔術がシステム的に整備された魔術を指すのに対し、「低次魔術」は、
一般に伝わるおまじないのようなものから、古くから伝わるアヤシゲな魔導書に
書かれている魔術などの、未文化な魔術を指す。
マギック
(Magick)
クロウリーという魔術師によって提唱された言葉で、魔術(Magic)という言葉が、
手品や奇術などと同じ言葉で使われているため、これらと区別するために、「K」を
最後に付したものである。
しかし、実はこの「K」という文字には性的な象徴が込められており、厳密には性魔術を
中核とする魔術をマギックと呼ぶとする解釈もある。
高等魔術が主に西洋の術ばかりを中心に扱っているのに対し、マギックは効果が
あるならば洋の東西を問わず、その大系に取り入れているのが大きな特長だろう。
魔女術
(Witchcraft)
「魔女」というと、悪魔と契約したり黒魔術を使ったりするものと思いやすいが、
本来はヨーロッパに古代から伝わる先史時代の自然宗教がキリスト教の普及のために弾圧され、
歪められたイメージとして後に伝わったものである。例えて言えば、日本の土着宗教の神道が、
後から伝わってきた別の宗教に弾圧されて神道の信者達が「悪魔」を崇拝していると濡れ衣を
着せられたものに近いといえば解るだろうか?。本来は、魔女とは豊穣の男神と大地の女神を
崇拝する素朴な原始宗教の崇拝者である。長い間、キリスト教によって悪魔のものとして弾圧されて
きたが今世紀、ガードナーによってその本来の面が見直され、それ以来、英米を中心に様々な魔女や
その集団(コブン)が現れ、活発に活動している。一般的に、この言葉のイメージから、魔女と
いうのは女性だけしかいないとか、悪魔と契約してとんがり帽子をかぶって箒にまたがって
空を飛ぶ醜悪な老婆といったものを想像しやすいが、どれも誤解で、キリスト教のいう悪魔とは
まったく関係ないし、男の魔女もいるし、若くて奇麗な女性の魔女もいる。
妖術
(Sorcery)
魔術師が大神秘の奥義に通じているのに対し、妖術師は小神秘しか知らないとされ、
一般的に魔術と対比されるときは魔術は善い事に術を使うもの、妖術は悪い事に術を
使うものとされる。
性魔術
(Sex magic)
性の力を扱う魔術を指す。一般的には男性と女性の交合により、生まれる莫大な
エネルギーをある目的の実現に向けて使われるものとされるが、普通はその性質により、
あまり公に語られる事が無いものである。
ゾス・キア・カルタス
(Zos Kia Cultus)
孤高の魔術師、A・O・スペアによって始められた流派で、それまでの魔術とはかなり
異なるタイプの魔術といえるだろう。宇宙全ての根源的な源を「キア」、人間をその力の
運び手である統一体「ゾス」と呼び、このゾスがキアを完全に制御するとき、莫大な
エネルギーが生まれるという考えを根本に置いた魔術体系である。
混沌魔術
(Chaos magick)
キャロルにより提唱された体系で、旧来の黄金の夜明け流魔術などのドグマに囚われず、
実効力のある魔術を追求しようとするもので、その源流には、クロウリーのマギック、
A・O・スペアの魔術、性魔術などが見られる。
当初、その過激さのため、一般の魔術師からは倫理的に問題があるとされていたが、
現在はより洗練され、多くの魔術師たちを魅了している。
ブードゥー
(Voodoo)
ハイチを中心に広まっている魔術的な宗教である。一般的に白人キリスト教徒に虐げられた
黒人奴隷達が復讐のためによく崇拝したため、人間の闇の面に関する術が多いのが特徴である。
その中でも特に有名なものとして、死者を蘇らすゾンビの術などがある。
ルーン魔術
(Rune magic)
北欧に古くから伝わる、ルーン文字と呼ばれるものを使った魔術である。ルーン文字1文字を
象徴としてエネルギーをおこす魔術や、ルーン文字を数文字組み合わせて使う魔術、それぞれの
ルーン文字に付された聖歌を使う魔術などがある。
錬金術
(Alchemy)
一般的に錬金術とは、金の亡者が金を得たいばかりに盲目的に行ったいかがわしい技術とされるが、
真の錬金術は、術者が自らの意識を「鉛」などに代表される卑俗的なレベルから、「金」に象徴される
至高のレベルへと高めようとして行った、自己達成の技術とされるのだ。
その要となるのが「賢者の石」であり、これは伝説では鉛に混ぜるとその鉛が金となり、それを
食すると不老不死の体になるとされるが、これらは象徴的に理解するべきであろう。
東洋魔術
(Oriental magic)
一般的に西洋の魔術師たちが、神道や道教などのアジア系の術を総称するときに使う言葉である。
反対に西洋系の魔術や高等魔術などを全てひっくるめて、西洋魔術といって済ましてしまう事もある。
儀式魔術
(Ritual magic)
ある一定の所作及び呪文を唱える事によって、何らかの効果を現実に及ぼそうとする魔術である。
一般的には魔術というと、この儀式魔術を指す事が多く、カバラ十字や小五芒星儀式等、様々なものが
ある。
自然魔術
(Natural magic)
一般的に高等魔術及び儀式魔術が、ある閉鎖された部屋や空間で神や天使などの存在に
たいして行われ、決められた手続きが多いのに対し、自然魔術は大自然の中などで、自然と
一体化しながら自分の魔術的意識のおもむくまま、自由に魔術を行うものとみなされている。
死霊術
(Necromancy)
既に死んでいるものの霊を呼び出し、その霊から過去や未来の出来事など様々な知識を得よう
とする魔術である。また、既に死んだものを復活させ、それを自分の命令のままに操る術も
これに含まれるといえるだろう。
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